裁判データ
- 東京地方裁判所平成30年(ワ)第6797号 保険金請求事件
- 令和3年3月16日判決
- 自保ジャーナルNo.2098(Nov.25.2021)
判旨
- 以下の点からすると,原告は,意図的に虚偽の自己状況を述べているものといわざるを得ず,保険契約者であり,かつ被保険者である原告が意図的に虚偽の事故状況を述べているとの事実は,本件事故が故意により招致された事故であることを推認させる重要かつ有力な間接事実というべきである。
- 原告が主張・供述する内容が,客観的な証拠と整合しない。
- 目撃者が衝撃音について何ら供述していないことからすると,原告車両への衝撃や本件事故による衝撃音はさほど大きくなかったと推認され,原告車両の速度は原告が供述するよりも低速であったことがうかがわれる。
- 原告車両の本件事故当時の時価は約530万円〜580万円,業者間の取引価格である卸売基準価格は約440万円〜490万円であったから,原告が原告車両を下取りに出した場合の価格は上記卸売基準価格を更に下回るものと認められるところ,本件保険契約に基づく保険金が支払われると,少なくとも2年度目の協定保険価額である900万円の支払を受けられ,400万円以上の経済的利益を得られるから,原告に本件事故を故意に生じさせる動機がなかったとはいえない。
- 以上によれば,本件事故は,偶然によるものではなく,原告の故意によって生じたものであると認めるのが相当である。
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