「法例」とは?
平成19年1月1日に,「法の適用に関する通則法」という法律が施行されるまで,「法例」という名の法律があった。
「法令」ではなく「法例」。
「法例」という言葉は,平成7年に改正される前の刑法の第1編第1章「法例」にも使われていたように,法律の適用範囲という意味で,法律の世界では,普通の言葉である。
「法例」は,民法や商法といった,私法分野の法律の適用範囲を定めた法律。
「適用範囲」という中には,場所的な範囲だけでなく,時的な範囲もある。
例えば,成立した法律が,いつから施行されるか。などの問題である。
法例に定められていた法律の施行時期
で,平成18年12月31日まで施行されていた法例1条には,「法律は公布の日より起算し満20日を経て之を施行す。但法律を以て之に異なりたる施行時期を定めたるときは此限に在らず。」(原文は片仮名旧仮名旧漢字で,句読点はなし。以下,条文については同様。)と定めていた。
つまり,法律に施行時期が定められていない場合,法律が公布されてから20日後に,施行されることになる。
たとえば,法の適用に関する通則法は,影響が大きいので,周知期間を設けて,すぐには施行しないことにして,その附則1条で,公布から1年以内の政令で定める日から施行すると定めているが,長期間の周知期間を設ける必要がない法律は,公布から20日後に施行される。
平成元年までは・・・
この法例1条は,平成元年に改正された(改正法は平成2年1月1日から施行。)が,それ以前には,どのように定められていたかというと,改正後の1条(上に書いたとおり)の次に,1条2項として,こんな規定があった。
台湾,北海道,沖縄県其他島地に付ては勅令を以て特別の施行時期を定むることを得
これは,昔は通信事情が悪く,法律の制定・改廃を遠くに知らせるのに日数を要したので,特に日数を要した地での施行時期を,特別に定めることができるようにしていたのである。
どうも,この条項は誰の目にも留まらなかったようで,北海道や沖縄に知らせるのが大変だったのって,いつの時代のことか・・・
しかも,台湾に日本の法律を施行することが前提の規定が,ずっと残っていたなんて・・・
外国(特に,中国・台湾)に知られたら,国際問題になりかねないな。
ひっそりと,削除されました。
コメント