裁判データ
- 最高裁判所平成31年(受)第427号,第428号 遺言無効確認請求本訴,死因贈与契約存在確認等請求反訴事件
- 令和3年1月18日第一小法廷判決
- 出典:判例タイムズ1486号
判旨
- 自筆証書遺言によって遺言をするには,真実遺言が成立した日の日付を記載しなければならないと解される(最高裁昭和51年(オ)第978号昭和52年4月19日第三小法廷判決・裁判集民事120号531頁参照)。
- 遺言者が,平成27年4月13日に,入院先の病院で遺言書の全文、同日の日付及び氏名を自書し,退院して9日後のどうねん5月10日に弁護士の立会いの下で押印した場合,遺言書が成立した日は,押印されて遺言が完成した平成27年5月10日というべきであるから,同日の日付を記載しなければならなかった。
- しかし,民法968条1項が,自筆証書遺言の方式として,遺言の全文,日付及び氏名の自書並びに押印を要するとして趣旨は,遺言者の真意を確保すること等にあるところ,必要以上に遺言の方式を厳格に解するときは,かえって遺言者の真意の実現を阻害するおそれがあるから,本件遺言書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって,直ちに本件遺言が無効となるものではないというべきである。
検討
自筆証書遺言書に,作成日と異なる日の日付が記載されていたとしても,それが誤記であることと真実の作成日が遺言証書の記載その他から容易に判明する場合には,記載された日付の誤りは,遺言を無効ならしめるものではない(最高裁昭和52年(オ)第696号昭和52年11月21日第二小法廷判決)。
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