裁判データ
- 最高裁判所昭和43年(オ)第1184号 認知請求事件
- 昭和44年5月29日第一小法廷判決
- 出典:民集23巻6号1064頁,判例タイムズ236号123頁,判例時報559号45頁
- 評釈:ジュリスト429号91頁,判例評論129号19頁,法曹時報21巻10号167頁
判旨
- Aらの母Bは,昭和21年訴外Cと結婚したが,昭和24年4月頃にCと事実上の離婚をして別居し,その後,同人とは全く交渉を絶ち,昭和26年10月2日に正式に離婚したのであるが,それに先だつ昭和25年9月頃から同39年3月頃までの間Yと肉体的関係を持続し,その間,昭和27年3月28日Aを,昭和31年1月31日に被上告人Dを各分娩し,同人らを自己の嫡出でない子として出生届をした。
- この場合,Aは母BとCとの婚姻解消の日から300日以内に出生した子であるけれども,BとC間の夫婦関係は,右離婚の届出に先だち約2年半以前から事実上の離婚をして,その後は夫婦の実態は失われ,単に離婚の届出がおくれていたにとどまるというのであるから,Aは実質的には民法772条の推定を受けない嫡出子というべきであり,AはCからの嫡出否認を待つまでもなく,Yに対して認知の請求ができる。
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