共有者の合意で定められた単独使用権限の変更

裁判データ

最高裁平成6年(オ)第1900号 不当利得返還請求事件
平成10年2月26日第一小法廷判決

出典

民集52巻1号255頁
判例タイムズ969号118頁
判例時報1634号74頁
金融・商事判例1047号14頁
金融法務事情1517号42頁

判旨

1 合意による単独使用権限

共有者間の合意で共有者の一人が共有物を単独で使用する旨を定めた場合,単独使用を認められた共有者は,合意が変更され,または共有関係が解消されるまでは,共有物を単独で使用することができ,使用による利益について他の共有者に対して不当利得返還義務を負わない。

2 内縁の夫婦が共有物を共同使用していたときの一方死亡後の使用権限の推定

内縁の夫婦が共有する不動産を居住または共同事業のために使用してきたときは,特段の事情のない限り,両者の間で,一方が死亡した後は他方が共有不動産を単独で使用する旨の合意が成立していたものと推認するのが相当である。
なぜなら,このような両者の関係及び共有不動産の使用状況からすると,一方が死亡した場合に残された内縁の配偶者に共有不動産の全面的な使用権を与えて従前と同一の目的・態様の不動産の無償使用を継続させることが両者の通常の意思に合致するといえるからである。

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