信頼関係が破壊されていないとの抗弁の主張・立証責任

裁判データ

  • 最高裁判所昭和41年(オ)第429号 建物収去土地明渡請求事件
  • 昭和44年2月18日第三小法廷判決
  • 出典:民集23巻2号379頁,判例タイムズ233号78頁,判例時報550号58頁
  • 評釈:法学協会雑誌89巻11号182頁,法曹時報21巻5号120頁,民商法雑誌62巻1号58頁

判旨

  • 無断で賃借権譲渡・転貸借が行なわれた場合には,賃貸人は,民法612条2項によって,賃貸借契約を解除しなくても,原則として,譲受人または転借人に対し,直接,賃貸物について返還請求・明渡請求をすることができるものと解すべきである(最高裁判所昭和25年(オ)第87号昭和26年4月27日第二小法廷判決・民集5巻325頁,最高裁判所昭和25年(オ)第125号昭和26年5月31日第一小法廷判決・民集5巻359頁参照)。
  • ただし,その場合でも,それが賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときには、賃貸人は、民法612条2項によつて当該賃貸借契約を解除することができず,右のような特段の事情があるときにかぎつて,譲受人・転借人は,賃貸人の承諾をえなくても,譲受・転借をもつて,賃貸人に対抗することができるものと解すべきである(最高裁判所昭和32年(オ)第1087号昭和36年4月28日第二小法廷判決・民集15巻1211頁,最高裁判所昭和39年(オ)第25号同年6月30日第三小法廷判決・民集18巻991頁参照)。
  • そして,右のような特段の事情は,譲受人・転借人において主張・立証責任を負うものと解すべきである。

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