最高裁判所平成25年(行フ)第2号
最高裁判所平成25年4月19日決定
判例タイムズ1392号64頁
判旨
1 文書の性質
平成19年(2007年)に改正された統計法は,基本理念の1つとして秘密の保護を掲げ,様々な角度から個人情報・秘密の保護を図っているところ,その中でも,基幹統計調査は,公的統計の中核をなす重要なものであり,その報告の内容の真実性及び正確性が担保されることが強く求められる。
2 特定可能性等
全国消費実態調査の調査票情報に係る準文書には,被調査者の消費生活・経済状況等に係る詳細な個人情報であって,個人的な消費生活・財産状況等の全てが明らかになる者といえるから,類型的に他人に知られたくないと考えることが想定される類型の個人情報であるといえる。
その内容が詳細かつ具体的であること,全国消費実態調査は人口が少ない町村でも行われるし,人口が多い地域でも実施範囲が限定されかつその実施範囲が広報される場合もあることなどを考慮すると,都道府県市区町村番号等の一定の情報を除外したとしても,被調査者についての一定の情報を既に入手している者を含む第三者において,これらの情報を見れば個人が特定されて第三者の知るところとなる危険があることを完全に否定することはできないものと解される。
3 結論
全国消費実態調査の調査票情報に係る準文書は,民事訴訟法220条4号ロ所定の「公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」(いわゆる公務秘密文書)に当たる(から,文書提出命令申立は却下されるべき)。
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