共同訴訟を提起する限界

共同訴訟

当事者は,1対1とは限らない。

原告が複数,被告が複数,あるいは原告も被告も複数ということもあり得る。

どのような形態の訴えを提起するかは,原則として,原告の自由である。

が,そこには,限界が定められている。

民事訴訟法の規定

平成8年改正前の民事訴訟法にも,同様の規定(59条)があったが,民事訴訟法38条は,以下のとおりに定めている。

第38条 訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき,又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは,その数人は,共同訴訟人として訴え,又は訴えられることができる。訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも,同様とする。

制限に違反した訴えが提起された場合は?

これに違反した場合は,どうなるか?

大審院昭和10年4月30日判決は,併合する要件を具備しない共同訴訟が提起された場合,当事者(実際には,被告ということになろう)が責問する(異議を述べる)場合や,併合することが許されない場合には(責問されなくとも),各訴訟を分離しなければならないが,併合要件を欠くという点だけを理由として,全部又は一部の訴えを却下するべきではないとした。

訴えの中身には,却下事由が存しないから,当事者が,責問権を放棄する限り,併合できないのに併合されていることだけでは,敢えて訴えを却下する必要は認められないし,責問権を行使したとしても,分離すれば,違法状態は解消されるから,訴えは却下されるべきではないという考え方であろうが,正当と考えられ,特段反対説もないようだ。

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