裁判データ
- 福岡高等裁判所平成30年(く)第9号 保釈請求却下決定に対する抗告事件
- 平成30年1月18日決定
- 出典:判例秘書L07320121
判旨
- 公訴事実は,被告人が常習的に業務上横領行為をしていたというものであり,刑訴法89条3号該当事由が認められるが,被告人は,前科はなく,代表役員兼宮司を務めていた宗教法人を離れて一般的に横領行為を繰り返す傾向があるとまではいえないから,刑訴法89条3号に該当することが,保釈の許否を判断する上で大きな要因となるとはいえない。
- 公訴事実については争いがなく,既に検察官立証が終了しているから,罪体及び重要な情状事実に関する実効的な罪証隠滅の余地は乏しいというほかなく,刑訴法89条4号該当事由を認めることができないことは明らかである。
- 裁量保釈の許否を判断する上で刑訴法89条3号に該当することは重視できないところ,被告人は,平成5年から本件法人かその系列の神社において神職を務めており,同年に結婚して2女1男をもうけ,一貫して福岡県東部において生活してきており,現在まで前科はないし,追起訴がされたために,被告人は,長期間身柄を拘束されてきているということができる。
- これらの事情に加え,最近の第一審における保釈の運用をも考慮すると,公平の観点からも,裁量で保釈するべき事案であるということができる。
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