裁判データ
- 東京高等裁判所昭和46年(く)第163号
- 昭和46年9月2日決定
- 出典:東京高等裁判所判決時報刑事22巻9号261頁
判旨
- 「常習」とは,当該犯行と罪質を同じくする犯罪が習癖として反覆して行なわれる場合をいう。
- 被告人の本件犯行についてこれを考えると,被告人は短期間内に同種犯罪を反覆累行しているが,本件犯罪の性質,犯行の動機,態様,被告人の環境,被告人に同種の前科の無いことその他諸般の事情を一切斟酌しても,被告人が前記犯罪を反覆する習性があるものとは到底認められない。
- 4回の公判期日が開かれ,一部の証人の尋問が実施されたものの,被害者らの証人尋問はいずれも今後の公判期日以降に持越されてその取調べが予定されており,本件審理は未だ緒に着いたばかりであるから,現段階に於て被告人を釈放するときは,被告人が被害者らに働きかけて自己に有利な証拠を作為する等罪証を隠滅する虞はあるものといわなければならない。
- 被告人は昭和46年6月4日に勾留(理由は罪証隠滅と逃亡)され、同年8月12日に勾留更新決定(理由は常習性と逃亡)が為されたものであつて、未だにその勾留が不当に長期に及んだということはできない。
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