最高裁判所平成26年(許)第19号 訴訟費用額確定処分異議申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
平成26年11月27日第1小法廷決定
判例時報2300号
判旨
当事者が準備書面を直送するためにした支出については,民事訴訟費用法2条2号は類推適用されない。
理由:
民事訴訟費用法2条2号は,裁判所が手続上の行為をするために行う必要な支出について,当事者等に予納義務を負わせるとともに,その支出に相当する金額を費用とすることで,費用の範囲及び額の明確化を図ったもの。当事者が準備書面を直送するための支出は,裁判所が何らかの手続上の行為をすることに伴うものではないし,当事者が予納義務を負うものでもない。
当事者が行う支出については,民事訴訟費用法2条4号~10号が,訴訟費用となるべきものを,個別に定型的・画一的に定めているところ,準備書面の直送は,多様な方法によることが可能であって,定型的な支出が想定されるものではなく,そのための支出が訴訟費用に当たるとすると,相手方当事者にとって,訴訟費用額の予測が困難となってしまう。
解説
従前の実務上の文献では,準備書面の直送には裁判所が送付した場合と同様の法律上の効果(相手方が在廷していなくても,その準備書面を陳述することができる。)が発生するなどとして,民事訴訟費用法2条2号を類推適用することを認めるものも多いようである。
しかし,準備書面の直送方法には,直接交付するとか,郵送するとか,ファックス送信するとか,種々の方法があり得て,費用が画一的には定まらないことを考慮すると,この結論はやむを得ないところかな。
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