裁判データ
- 名古屋地方裁判所昭和48年(ワ)第2303号
- 昭和51年11月30日判決
- 判例タイムズ352号293頁,判例時報859号80頁
判旨
養子Xが,「もう親でもない,子でもない。」と言い放って,当時68歳で病弱の両親を見捨てて家を出て以来,養親が死亡するまでの25年間,養親に対して養子らしいことは何一つしたことはなく,ほとんど音信杜絶状態で,事実上全くの離縁状対にあり,実質上の養親子関係が消滅していたというべきであったのに対し,受贈者Yは,養親がXに見捨てられてから死亡するまで(途中からは養子として),その一生をかけて,実の子でも及ばないような誠意を尽くして養親の面倒を見て,介護に尽くし,財産を守り,遺贈の対象財産が養親の遺産として残ったのもひとえにYの献身と努力に負うというべき場合,Xによる遺留分減殺請求は,法が設けた遺留分制度の趣旨にもとるもので,権利の濫用として許されない。
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