最高裁判所昭和52年(オ)第658号

裁判データ

  • 最高裁判所昭和52年(オ)第658号 土地所有権確認等請求事件
  • 昭和53年3月6日第二小法廷判決
  • 出典:民集32巻2号135号,判例タイムズ362号208頁,判例時報738号1頁
  • 評釈:最高裁判例解説民事篇

判旨

  • 10年の取得時効の要件としての占有者の善意・無過失の存否について占有開始の時点において判定するものとする民法162条2項の規定は,時効期間を通じて占有主体に変更がなく同一人によって継続された占有が主張される場合について適用されるだけではなく,占有主体に変更があって承継された2個以上の占有が併せて主張される場合についてもまた適用される。
  • 2個以上の占有が併せて主張される場合には,その主張にかかる最初の占有者について,その占有開始の時点においてこれを判定すれば足りる。

検討

  • 原審は,占有主体に変更があって悪意又は有過失の者が善意・無過失の者の占有を特定承継した場合には,前主の占有に瑕疵のないことについてまで承継してその者が瑕疵のない占有者となるものではなく,かつ,瑕疵のある中間者から更に占有を特定承継した者について取得時効の完成をいう場合には,前々主及び自己の占有に瑕疵がないときであっても瑕疵のある中間者の占有期間を併せて主張する以上は全体として瑕疵のある占有となると判断した。
  • 幾代説は,原審判断と同旨である。
  • 大審院判決明治44年4月7日・民録17輯187頁は,本判決と同旨。

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