労働能力が減退したが後遺障害逸失利益を認めなかった事例

裁判データ

  • 最高裁判所昭和41年(オ)第600号 損害賠償請求事件
  • 昭和42年11月10日第二小法廷判決
  • 出典:民集21巻9号2352頁
  • 評釈:法曹時報20巻3号201頁

判旨

  • 交通事故による傷害のため,労働力の喪失・減退を来したことを理由として,将来得べかりし利益喪失による損害を算定するにあたって,自賠法施行規則別表の労働能力喪失率が有力な資料となることは否定できない。
  • しかし,損害賠償制度は,被害者に生じた現実の損害を填補することを目的とするものであるから,労働能力の喪失・減退にもかかわらず損害が発生しなかった場合には,それを理由とする賠償請求ができないことはいうまでもない。
  • 交通事故により左大腿複雑骨折の傷害をうけたが,その後従来どおり会社に勤務し,従来の作業に従事し,事故による労働能力の減少によって格別の収入減を生じていない場合,労働能力減少による損害賠償は認められない。

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