仮差押え後に土地が譲渡された場合の法定地上権

最高裁判所平成27年(受)第477号 損害賠償等,境界確定等請求事件

平成28年12月1日判決

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判旨

地上建物に仮差押えがなされて,その後,当該仮差押えが本執行に移行して強制競売
手続で売却された場合,当該仮差押えの時点では土地と建物とが同一の所有者に属し
ていたときは,その後に土地が第三者に譲渡されて,強制競売手続における差押えの
時点では土地と建物とが同一の所有者に属していなかったとしても,法定地上権が成
立する。

検討

この判決の理由は,①地上建物の仮差押えの時点で土地と建物とが同一の所有者に属
していた場合も,当該仮差押えの時点では土地の使用権を設定できないし,その後に
土地が第三者に譲渡されたときにも,地上建物について土地使用権が設定されるとは
限らないから,当該仮差押えが本執行に移行して強制競売手続で売却された地上建
について法定地上権を成立させることは,地上建物の収去による社会経済上の損失を
防止しようとする民事執行法81条の趣旨に沿うし,②地上建物を仮差押えした債権者
は,地上建物の存続を前提として仮差押えしたものであるから,法定地上権が成立し
ないとすると,不測の損害を被ることになってしまうから,である。

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