裁判データ
- 最高裁判所平成31年(受)第606号 不法行為による損害賠償請求事件
- 令和2年4月7日第三小法廷判決
- 出典:判例時報2462号
判旨
- 民事訴訟費用等に関する法律(「費用法」)2条が民事執行手続を含む民事訴訟等の手続の当事者等が負担すべき当該手続の費用の費目と額を法定しているのは,当該手続に一般的に必要と考えられるものを定型的,画一的に定めることにより,当該手続の当事者等に予測できない負担が生ずること等を防ぐとともに,当該費用の額を容易に確定することを可能とし,民事執行法等が費用額確定処分等により当該費用を簡易迅速に取り立て得るものとしていることと相まって,適正な司法制度の維持と公平かつ円滑なその利用という公益目的を達成する趣旨に出たものと解される。
- この趣旨からすると,強制執行においてその申立てをした債権者が当該強制執行に要した費用のうち費用法2条各号に掲げられた費目のものについては,民事執行法42条2項により債務者から執行手続において取り立てる以外には,専ら費用額確定処分を経て取り立てることが予定されているというべきであって,これを当該強制執行における債務者に対する不法行為に基づく損害賠償請求において損害として主張できるとすると,前記趣旨が損なわれることとなる。
- したがって,強制執行の申立てをした債権者が,当該強制執行における債務者に対する不法行為に基づく損害賠償請求において,当該強制執行に要した費用のうち費用法2条各号に掲げられた費目のものを損害として主張することは許されないと解するのが相当である。
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