同一交通事故での物損の相殺

最高裁昭和49年6月28日判決

裁判データ

  • 最高裁判所昭和47年(オ)第36号 損害賠償請求事件
  • 昭和49年6月28日第三小法廷判決
  • 出典:民集28巻5号666頁
  • 評論:最高裁判例解説民事篇昭和49年度28頁

判旨

民法509条の趣旨は,不法行為の被害者に現実の弁済によって損害の填補を受けさせること等にあるから,およそ不法行為による損害賠償債務を負担している者は,被害者に対する不法行為による損害賠償債権を有している場合であっても,被害者に対しその債権をもって対当額につき相殺により右債務を免れることは許されないものと解するのが相当である(最高裁昭和30年(オ)第199号昭和32年4月30日第三小法廷判決・民集11巻4号646頁参照。)。したがって,本件のように双方の被用者の過失に基因する同一交通事故によって生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間においても,民法509条の規定により相殺が許されないというべきである。

最高裁昭和54年9月7日

裁判データ

  • 最高裁判所昭和53年(オ)第1198号 損害賠償請求事件
  • 昭和54年9月7日第二小法廷判決
  • 出典:裁判集民事127号415頁

判旨

  •  XとY双方の各被用者の過失に基因する同一事故によって生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間において民法509条の規定により相殺が許されないことは,当裁判所の判例(昭和47年(オ)第36号昭和49年6月28日第三小法廷判決・民集28巻5号666頁)とするところであり,このことは,双方がいずれも運送業を営む会社であっても同様であるというべきである。
  •  大塚喜一郎裁判官による反対意見(双方当事者の過失による交通事故で生じた物損に関しては,相殺を認めるべきである。)がある。

コメント

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